2018-01-01から1年間の記事一覧
年末年始は、おちついてゆっくり読書ができる。 あちこちから本を引っ張り出してきて 休憩がてら、この本を開く。 ネット国という架空の国が舞台になっている。 この本に出てきた中で、私にとって最も身近な国だ。 もはやインターネットの世界に住んでいると…
日にちがすっかり空いてしまった。 この本はいよいよクライマックスに差し掛かっている。 今日は、実在したあるピアニストの心臓の話。 彼の遺体はパリの墓地にあるが、心臓はワルシャワにある。 彼は、せめて心臓だけでも祖国に埋葬されることを望んでいた…
職場で私の属していたグループが解体し、 ほかのグループと組み合わさった。 これまでのメンバーが気に入っていたのでショックだった。 でも心配はいらないだろう。 今は不自然に思えるいびつな体制でも そのうち慣れて また新しい思い出が染み込んでゆくは…
この断片集のなかで「逃亡派」とタイトルのつけられている章に入る。 いよいよ中核だ。 アンヌシュカと呼ばれる主婦が主人公らしい。 舞台はどうやらロシア。 暗闇の中でアンヌシュカは発見する。 ソファのカバーの色も、カーテンの房飾りも役に立っていない…
もしも小さなものを見るのが得意な人と 大きなものを見るのが得意な人がいるならば 私は前者だと思う。 身体が人よりもすこし小さいから こまごましたものを触ったり 小さなものをよく眺めたりするのに向いている。 この先は公開解剖の話がしばらく続く。 ル…
話すことは、立ち入ること。 自分の状況を名付けて、 ことばを探して 試しにあてがってみること。 灰かぶりをお姫様に変身させるかのように。 「話して!話して!」という章を読んで思った。 せっかく生きている間に 素敵な言葉をたくさん蓄えてきたのなら …
風邪をひいた。 頭蓋骨にセロハンをかけられたみたいだ。 外の世界がいつもより少しぼやけている。 本を開く。 解剖標本の保存を研究する博士が登場する。 とある夫人の家に訪れる。 彼女はとてもフレンドリーな人柄だが、 博士からすれば、彼女のもてなしな…
断章は緩急が激しい。 情報のたくさんつめこまれた箇所と 息抜きていどのちょっとした描写や小話がはめ込まれている箇所がある。 なんだか日々の生活みたいで、それは私を飽きさせない。 人生に飽きないためには緩急をつけるのが一つのコツなのだ。 この物語…
知っているってなんだろう。 今日、「ユカタン半島風スープ」という料理に出会った。 「ユカタン半島って知っている?」 と聞かれて、私はうなづいたけれど、 そういう名前の島が存在することと 位置はメキシコのあたり、ということしか知らない。 知ってい…
クニツキの妻子はまだ見つからない。 捜索の合間に、また小さなカフェに入る。 この小説では、よくカフェと思われる場所で男たちがビールを飲んでいる。 ポーランドの風景なのだろうか? そこでは誰も彼に関心がなく、安堵する。 人々の顔の、細かい差異の一…
本を開く。クニツキという男が突然あらわれる。 断片なので、唐突さには耐えなければならない。 そういえば今日、渋谷区立中央図書館まで散歩をし、緑に囲まれた小道を見つけた。 両脇に花が植わっていて、雨上がりだったので甘くやわらかい香りが立ち込めて…
仕事を持つと、自分の性格上の欠陥が失敗となって浮き彫りになる。 書類作成、期日管理、人間関係…… 誰だって思い当たる節があるだろう。 本当はただ思考して、問題点を解消すればいいだけなのに ミスを起こすたびに悩んでしまうのはきっと、 その失敗こそが…
街は動かない。 ずっと、そこにある。 ただ、出来事を置き去りにしたまま。 „ 私 ” が学んだ学部の建物は、戦時中、ナチス親衛隊の本部が置かれていた。 この場所は、本質的には死者に属していたのだ。 ふちがすり減った階段、足跡でいっぱいの廊下。 ありと…
できるだけ、ゆっくり読み進める。 先日、約3か月ぶりにピアノを触った。 何も弾けなくなっていた。 まったく自分の指ではないようだった。 かろうじて、練習に時間のかかった曲だけは何となく指が覚えていた。 丁寧に寄り添えば、自分の一部となってくれる…
近頃、目標を定めづらくなっている。 よりよい人生のためにと、生きるうえでそれなりに選択肢を増やしてきた。 結果、一番やりたいこと、最も優先したいことの見分けがつけにくくなってしまった。 山手線のようにグルグルとまわっている。 ときに選択を誤っ…
まだ訪れたことのない場所、これから訪れるかもわからないような場所がある。 書物は、そういったところに、自分ただひとりで潜り込ませてくれる。 異国の、切りたった崖に聳える街の路地とか、オオカミしかいないような冬の寂しい森とか。 しかも、他人の視…