#14 手元の端末に心を許す
年末年始は、おちついてゆっくり読書ができる。
あちこちから本を引っ張り出してきて
休憩がてら、この本を開く。
ネット国という架空の国が舞台になっている。
この本に出てきた中で、私にとって最も身近な国だ。
もはやインターネットの世界に住んでいるといえる人は
少なくはないとおもう。
登場人物の携帯電話は、非常に律儀だ。
彼女が飛行機から降りるとすぐに、位置情報で場所を教えてくれる。
復活祭やバレンタインといったイベントが近くなると
セールの広告を表示して、彼女を誘う。
彼女はすっかり心を許し、
アナーキーな部分は溶けてしまう。
iPhoneは欲しい情報をすべてくれる。
実際、よくある話だ。
解決策も運んできてくれる。
だから、手元のディスプレイをすっかり信頼して
まるで親友だけに打ち明けるように
あけすけに何でも語っている人も中にはいる。
Twitterなんかが非常に顕著だ。
自分の人生を一つのコンテンツとして割り切れるなら
それもそれでありなんだろう。
ネットはいつだってにぎやかだし
似たような人がつながり合うから、楽しくて居心地も良い。
ただ、トカルチュクはこう言っている。
「ひとたび網(ネット)の外に出れば、あるのは静寂。」