#03 失敗を見つける
仕事を持つと、自分の性格上の欠陥が失敗となって浮き彫りになる。
書類作成、期日管理、人間関係……
誰だって思い当たる節があるだろう。
本当はただ思考して、問題点を解消すればいいだけなのに
ミスを起こすたびに悩んでしまうのはきっと、
その失敗こそが自分と切っても切り離せない性質を示しているからなんだろう。
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„ 私 ” はいつも、不完全なもの、欠陥のあるもの、壊れたものに惹かれる。
人は誰だって、暴くことが好きなのだ。
そういえばバタイユも、同じようなことを言っていた。
というか、彼の書物ではその主張しか理解できなかった。
意識の陰に存在するけれど、視界からは逃れていこうとするものを、みんな捉えたがる。
欠陥があるけれど、好きになる、のではなく
欠陥があるから、人やものを好きになるのかもしれない。
主人公は、「なめらかなフラシ天のソファから突き出たスプリング」とか
「普通ではない奇妙なリンゴ」のような、
間違いや失敗の跡を追って、辛抱強く旅をしている。
失敗はきっと、自分自身を見つけ出すチャンスになるんだ。