#06 占いに頼らなくて良い
知っているってなんだろう。
今日、「ユカタン半島風スープ」という料理に出会った。
「ユカタン半島って知っている?」
と聞かれて、私はうなづいたけれど、
そういう名前の島が存在することと
位置はメキシコのあたり、ということしか知らない。
知っていることと聞き覚えのあることを、混同している。
本が好きでも、最近は流し読みが多かったので、後者ばかりが増えている。
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本を開く。
主人公の視界に入る場所や物が、旅行にからめて意味づけされ、説明されている。
辞書みたいに。
空港、化粧品、オリジナルとコピー、列車、部屋、人間と動物の関係性……。
私たちはよく、個々のエピソードをつなげて、意味をもたせようとする。
たとえ占いに頼らなくても、
何でもないものを眺めて、回想して、つなぎ合わせてみるだけで、
自分がいま最も欲しているものは、見えてくるだろう。
もう少し読み進める。
" 私 " は、書くという行為は破壊することだ、と言っている。
書かれたことは、色あせる。
すごく簡単に言うと、鮮度がなくなるということなんだろう。
それでも、日記を書く人、旅行記を書く人
(媒体は紙でもブログでも、twitterでも良い)
何でもいいから日々のことを書き留めておきたい人はたくさんいる。
そういう人たちはみな、
自分の欲するものを少しでも減らすために
書き記す行為をしているんだろう。
やがて書きたいと思うことが何もなくなったら
その時に初めて満たされた状態になるのかな。